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【米国株分析】コストコのビジネスモデル・競争優位・リスク
コストコの銘柄概要
会社名 | Costco Wholesale Corporation |
設立日 | 1976年2月 |
創業者 | ジム・シネガル |
業種 | Retail |
従業員数 | 288,000人 |
コストコは、1976年に創業された大型のホールセールストア(会員制の倉庫型卸売り)。米国では、ウォルマートと並び国内最大の生活用品小売店の1つとなっている。
コストコは店舗が巨大倉庫をそのまま使用していることが特徴であり、業界内でも屈指の安さを誇る販売形式となっている。
安さの秘密は有料会員プランで、年会費(3コースほどあるが)を払わなければコストコで買い物をすることはできない。
しかし、商品の安さが人気を集め、コストコの有料会員数は5000万人、家族cardなども含めた会員数でみると1億人を超えている。
まさに世界を代表する超巨大小売企業なのだ。
コストコのビジネスモデル
年会費による価格競争力
基本的なビジネスモデルは、非常に原価率の高い(つまり安い)品物を大量に仕入れ、その購入権を年会費という形で徴収するというもの。いわゆる【安い品物を買う権利を販売するサブスク】と解釈できる。
コストコの製品は軒並み非常に安い。ほとんどの商品が原価率8割を超えているというレベルである。
もちろん販売業種によって変化するが、小売業界全体としては5割から7割といわれているため、業界平均を大幅に下回る価格で販売しているということがわかる。
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原価率が高いとなんで安いの?
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原価率が高いほど販売者の利幅は薄いため、基本的に販売価格は安くなる。
もちろん、原価率が高くて販売価格も高いことはよくあるが(高級レストランなど)、コストコのような生活品を販売する小売業の場合、販売価格を抑えた上での競争になるため、販売価格は安く提供される。
そのような販売形態をとっているため、通常の小売り業的売上(〇〇円分の商品を売った)だけではコストコは収益を成り立たせることはできない。コストコの収益は会員費があってこそなのだ。
実際に売上を見てみると、コストコの売上の約98%は小売業の売上(Net sales)、約2%が会員費(Membership fees)となっている。
しかし、これを利益ベースに直してみると、利益の7割を会員費が占めている。会員費ビジネスであるため、通常の小売店よりも景気の良し悪しが売上に影響しないと考えることができる。
また、利益の大半が年会費という利益率100%近い収益のため、インフレの進行による利益率悪化などに対してもある程度の耐性を持つ。
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なんで年会費ビジネスだとインフレに強いの?
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通常の小売店だと、仕入れ価格が高くなるためインフレ進行は原価の高まりにつながる。
年会費ビジネスであればそもそも仕入れも何もないので、物価状況の影響を受けることはない。
インフレ下では小売店も値上げをしないと利益率を維持できないが、BtoCの値上げは、たとえ米国でも1年近くかかるケースも少なくないため、インフレは利益率悪化につながる。
結論としては、コストコは、非常に安い価格で商品を販売することによって「コスパの非常に良いお店」として知名度を獲得した。その安さを求める人たちから会員費を徴収するという構造になっている。
仕入先への価格交渉力
コストコは商品の仕入れや陳列方法にきちんとした基準を持っている。
具体的には、コストコは取り扱う商品に対してブランドを絞っているということだ。実際にコストコの行ってみるとよくわかるが、ある商品に対して複数ブランドの商品を置いてあるケースは少ない傾向にある。
これはブランド数を限定することで、その仕入先に対して価格交渉力を強く保つことを狙っているからだ。安く仕入れが出来れば、その分安く商品を販売でき、それはコストコのユーザーの満足度の上昇に寄与する。
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なんでブランド数を限定すると価格交渉力がつよくなるの?
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生産者からしてみれば、コストコほど強い販売力を持つ小売店に扱ってもらえれば、相当な売上が見込める。
しかし逆に言えば、コストコと契約が切れたらその強い販売網と売上を失うことになるので、ある程度融通を利かせないといけない立場になる。
結果としてユーザー解約率が低下(実際9割以上が継続契約している。)し、収益の安定化につながるというわけだ。
巨大倉庫を店舗にしている
また、コストコは店舗が巨大倉庫を利用している点が特徴的だ。
倉庫をそのまま店舗にすることで、バックヤードを作らず、面積を効率的に販売につなげられる利点がある。そのため、利益率を高めることができる。
他にも多くの利益上昇の策はあるが、コストコで重要なのはメンバーシップの会員数と継続率だ。そこを重要視していきたい。
総合販売店の業界情報
小売業界はかなり細分化されているため、ここではコストコが属する総合販売店の業界情報をお伝えしていく。
小売りはそもそも何を売っているか?で大別されるケースが多い業界だが、この総合販売店業界は日常生活で使用する商品や食品を含めたあらゆる商品を販売しているタイプの小売店だ。
この業界の基本的な戦略は安さでお客様を引き付けるというもの。
業界として安さを魅力にしているため、比較的インフレは影響を受けやすい業界だといえよう(ロジックは先述のとおり)
小売店の基本的なビジネスも流れは次のとおり。
【小売店ビジネスの流れ】
- どんな商品を仕入れるか?どんな品ぞろえにするか?
- どこからどのように仕入れるか
- 店舗をどんなスタイルで運営するか(コストコはここで有料会員プランを採用)
- 広告・宣伝をどうするか?
- どのように店舗を運営するか(実際のコスト管理など)
この5項目で流れていくケースが多い。企業を比較する際は上記5項目でどの点が違うかを考えてみよう。
昨今のトレンドとして注目されているのがECへの対応だ。コロナもあり、より急速に加速したEC需要は多くの小売店のEC対応を加速させた。実際に、これまではAmazonなどの伸長のおかげで総合販売店の売上はやや悪影響を受けていた。
ウォルマートやコストコといった超大型店から、やや小型の小売店に至るまで多くの小売店でEC対応が本格化している点には留意したい。
コストコの競争優位
【コストコの競争優位】
- 非常に安価な価格で商品を販売できるシステムを持ち、その情報が非常に広まっているという知名度の高さ故、今後の人口増加・所得増加・消費増加を業績に反映させることが可能。
- 年会費が利益の大半を占める収益構造のため、業績の安定化を図ることが可能。
- インフレなど、一般的に小売り業界に対して逆風になるイベントに対してもある程度の耐性を持つ。
- 現在は米国内での展開が主だが、日本などを含め、諸外国へ進出をしている。そのため、今後の海外展開の成功、進出成功先での所得増加などにより業績拡大の機会を得ることが可能。
コストコのリスク
【コストコのリスク】
- 倉庫をまるごと使うという店舗形態を採用しているため、出店地域に一部の制限がかかる。ウォルグリーンのような小型薬局小売店のように、全国民の8割の生活圏にリーチするというような生活密着型を前面には押し出せない。
- ターゲットが比較的上流層であるがゆえに、上記内容とも被るが、出店地域が限定される。大々的な出店攻勢がかけられないため、結果的に業績の急拡大が難しいという側面がある。
- 小売業界全体の逆風でもあるが、Amazonような大規模ECの進出によって対面販売の割合が下落(ECに客を取られている)している。対応策も講じてはいるがやはりやや遅れ気味のため、ECへの対応策が後手に回っている可能性がある。
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