【経済指標】ADP雇用統計とは？見方・影響

投資に必要な情報収集として、経済指標の動向は欠かせません。

雇用情勢を分析する上で、ADP雇用統計をチェックすることは重要です。

そこでこの記事では、ADP雇用統計の意味・見方・影響を解説していきます。

ADP雇用統計とは

ADP雇用統計とは、米国の雇用状況を示す経済指標です、

40万社以上の給与計算を代行しているADP（Automatic Data Processing）社が、雇用統計の2日前に公表しています。

全米の広範な雇用データをまとめていること、雇用統計の直前に発表されることから、マーケットが注目する経済指標の一つです。

指標名	ADP雇用統計
発表機関	ADP社 Automatic Data Processing
発表時期	雇用統計の2営業日前
発表周期	月次

ADP雇用統計の見方

雇用統計の先行指標として活用する

ADP雇用統計は、米労働省による雇用統計の2日前に発表されること、及び調査方法が似ていることから、雇用統計の先行指標として活用できます。

FRBは、金融政策の方針を決定する上で雇用状況をかなり重視しているため、ADP雇用統計の結果は、2日後の雇用統計の参考になり、ひいては米国の金融政策の動向を考察する上で有用な情報源となるのです。

以下、FRBの機能を公表している文言を引用します。

“conducts the nation’s monetary policy to promote maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates in the U.S. economy”

「（FRBの機能には）米国の金融政策は、雇用の最大化、物価の安定、そして長期金利の適正化を目的として実行される」

引用元：Board of Governors of the Federal Reserve systemから和訳

このように、米国の金融政策は雇用の最大化を目的の一つとしている以上、足下の雇用状況を表す雇用統計やADP雇用統計の結果は注目を集めるのです。

雇用統計を最も重視することには変わりありませんが、先立って発表されるADP雇用統計にも注目する必要性は十分高いと言えます。

過度に信頼はしない

ADPは確かに重要な経済指標ですが、その結果を過度に信用するのは禁物です。

少し古いデータですが、ADP雇用統計と雇用統計の相関性を表しているチャートを確認してみましょう。

概ね同じ方向に推移してはいますが、逆方向に動くケースも散見されます。

つまり、「米国経済は好調だし雇用状況も良好だろう」と思ってるなかでADP雇用統計が悪い結果になったとしても、大慌てせず、2日後の雇用統計を待ってみる姿勢も大切なのです。

もちろん、短期トレーダーであればすぐにポジションを調整する必要はあるでしょう。重要なのは、ADP雇用統計を盲信せず、自分の相場感に従ってトレードすることです。

長期目線であれば、2日後の雇用統計で答え合わせしながらポジション調整しても良いのではないでしょうか。

ADP雇用統計の影響

株式相場への影響

ADP雇用統計は株式相場に影響します。

ADP雇用統計の結果が予想より高ければ足元の景気は（予想より）良好だと判断されるので、リスク資産である株式の買い材料になります。

反対に、結果が予想より低ければ足元の景気は（予想より）悪化していると判断されるので、株式の売り材料になります。

参考データ

12月ADP雇用統計が予想を大幅に上回り労働市場の強い回復が証明されたことが好感され、ダウは日中取引で史上最高値を更新した。

引用元：Yahoo!ファイナンス

ただし、個別銘柄への影響を考える場合は、景気動向に連動するシクニカル銘柄か、景気動向の影響をうけづらいディフェンシブ銘柄かで見方が異なる点には注意が必要です。

金利相場への影響

ADP雇用統計は金利相場にも強く影響します。

ADP雇用統計の結果が予想より高ければ、金利が上昇する材料になります。景気が良いと判断されれば、安全資産である債券が売られるからです（＝利回りは上がる）

反対に、ADP雇用統計の結果が予想より低ければ、金利が低下する材料になります。

為替相場への影響

ADP雇用統計が金利相場に影響を与える以上、金利相場と強い結びつきのある為替相場も影響を受けます。

為替への影響は金利への影響の延長線とみれば分かりやすいです。