投資に必要な情報収集として、経済指標の動向は欠かせません。
景況感を分析する上で、ISM製造業景況指数をチェックすることは重要です。
この記事では、ISM製造業景況指数の意味・見方・影響を解説していきます。
ISM製造業景況指数とは
ISM製造業景況指数とは、米国の製造業の景況感を示す経済指標です。
約350社の製造企業の仕入れ担当役員に対して自社の景況感に関するアンケートをとっているため信頼度が高く、主要指標のなかで最も早く発表されることから、マーケットの注目度はとても高いです。
【アンケート内容】
新規受注・生産・入荷遅延比率・在庫・解雇の各項目を「良い」「同程度」「悪い」の3択から回答を募集。
指標名 | ISM製造業景況指数 |
発表機関 | 全米供給管理協会 Institute for Supply Management |
発表時期 | 翌月第1営業日 |
発表周期 | 月次 |
ISM製造業景況指数の見方
50%に注目する
ISM製造業景況指数は、50%を上回ると景気拡大、下回ると景気後退を示唆していると言われています。
そのため、コンセンサス(マーケットの大方の予想)との乖離に注目するのは当然ですが、50%をトレンド転換の一つの基準にするのも有効だと言えます。
景気に連動するシクニカル銘柄や、景気敏感株のウエイトが高いインデックスファンドを運用している方は注意が必要です。
他指標の先行指標として活用する
ISM製造業景況指数は、いち早く発表される経済指標であるため、その後に公表される指標の先行指標として活用することができます。
次の紹介するような経済指標の予想を立てるときに、同指標の動向を参考にすると良いでしょう。
【相関関係のある指標】
- ニューヨーク連銀製造業活動指数
- フィラデルフィア連銀製造業景況指数
- マークイット製造業PMI(速報)
- シカゴPMI
ISM製造業景況指数の影響
株式相場への影響
ISM製造業景況指数は株式相場に強く影響します。
ISM製造業景況指数の結果が予想より高ければ足元の景気は(予想より)良好だと判断されるので、リスク資産である株式の買い材料になります。
反対に、結果が予想より低ければ足元の景気は(予想より)悪化していると判断されるので、株式の売り材料になります。
ただし、一口に株式と言っても景気動向に連動するシクニカル銘柄か、景気動向の影響をうけづらいディフェンシブ銘柄かで見方が異なる点には注意が必要です。
【ISM製造業景況指数と株式相場】
- ISM製造業景況指数が予想以上に上昇→株式の買い材料に
- ISM製造業景況指数が予想以上に低下→株式の売り材料に
金利相場への影響
ISM製造業景況指数は金利相場にも強く影響します。
ISM製造業景況指数の結果が予想より高ければ、金利が上昇する材料になります。景気が良いと判断されれば、安全資産である債券が売られるからです(=利回りは上がる)
【考え方】
- 米国全体の景況感を表す同指標の値が良好
- 景気が良いと判断される
- 中央銀行(FRB)が政策金利を引き上げる(下げ止める)可能性が高まる
- 足元の金利相場も上向く
反対に、 ISM製造業景況指数の結果が予想より低ければ、金利が低下する材料になります。
【ISM製造業景況指数と金利相場】
- ISM製造業景況指数が予想以上に上昇→債券価格↓・利回り↑
- ISM製造業景況指数が予想以上に低下→債券価格↑・利回り↓
為替相場への影響
ISM製造業景況指数が金利相場に影響を与える以上、金利相場と強い結びつきのある為替相場も影響を受けます。
為替への影響は金利への影響の延長線とみれば分かりやすいです。
【考え方】
- 米国全体の景況感を表す同指標の値が良好
- 景気が良いと判断される
- 中央銀行(FRB)が政策金利を引き上げる(下げ止める)可能性が高まる
- 足元の米金利も上向く
- 高金利通貨として米ドルに資金が集まる
- 米ドル高に
【ISM製造業景況指数と金利相場】
- ISM製造業景況指数が予想以上に上昇→ドル買い・円売り
- ISM製造業景況指数が予想以上に低下→ドル売り・円買い